現代妖怪

現代妖怪とは、私達が使っている言葉で、一般には認知されていないものです。
噂話の中から、名前を付けられて妖怪となった者たち‥‥
口裂け女、花子さん、テケテケなどをこう呼んで、都市伝説とはちょっとわけて考えています。
ここでは現代妖怪の女王、口裂け女について話しましょう。
(これを書いたのは1999年です。現在では「現代妖怪」という言葉は認知されているようです)
 
口裂け女の話
学校の帰り道に立っている、コートを着てマスクをかけた女。近づく子供に、「あたしきれい?」とたずねる。
「ブス」と言うと、包丁で刺される。
「きれい」と言うと、「これでも〜〜〜」と、マスクを取る。その口は耳まで裂けている。
この女は3人姉妹の末っ子で、整形手術に失敗して口が裂けてしまい、気が狂ったらしい。
逃げようとしても、100メートルを3秒で走るので逃げられない。
「ポマード」と3回言うと逃げていく。
またはべっこう飴を与えると、逃げられる、という。
 
口裂け女は、1987年に発生し、89年にかけて大流行した後、急激に収束した話です。
末期には、パトカーより速いとか、空も飛ぶなどと言われて、さすがに子供達の間でも信じられなくなっていきました。
 
ところで、この口裂け女の話には、大人の語る原型と思われる話が存在するようです。
 
プレ口裂け女の話
私の友達が、東京の大学に入ったばかりの頃の話です。
その子は寮に入っていて、ある日食堂で先輩が
「さっきラジオで精神病院から逃げ出した女が包丁を持ってうろついているから気をつけてくださいって言ってた」と言うのです。その時はとても怖いと思ったそうです。
 
名古屋の有名なね、そういうのがいかにも出そうな場所に、そこの所にある雨の晩に、2ドアの車に乗って2人の大学生がいた、したら乗せてくださいって女の子が来て、いいよって乗せてあげて、1人が後の席に行って助手席に女の子が入ってしばらくして、女の子が振り向いたら口が裂けてたんで、あっと驚いて運転席の奴は逃げてはっと気がついたら友達は2ドアなので逃げらんない。しまった!って戻ってきたら、おかしくなっちゃってて口が裂けてる女の子は先天的なそういうので、何度も手術したんだけど直んなかったとかいって。で、僕らは深く信じ込んでました。で、その話と全く同じ話がフォーラムに、どっかのフォーラムの会議の所にアップされてて、実は私そこの病院、名古屋の有名な精神病院、そこの看護婦なんだけど、うちの病院で噂になっている。うちの病院に入院してるらしいと言われている。
これらの話は、まだ口裂け女と言う名が付けられる前の、大人の噂話の段階であると思われます。
ここから話が子供に下りていき、口裂け女が誕生したのではないかと、私達は考えています。
口裂け女と言う名前が付けられると、このウワサは大人の話としてのリアリティを失い、逆に子供にはわかりやすい恐怖として広まっていったのではないでしょうか。
 
現代妖怪とは、このように名前を持つもの、主として子供が語るもの、と言う特徴を持っています。

◆子供の語る話
◆現代妖怪についての考察(対談)