対談その1    
 
あ こんにちは! 服部あゆみです。
今回は、都市伝説と現代妖怪についてのホームページを作る事になりました。
 
玲 都市伝説、現代妖怪って書くと、
そこはかとなく学術的雰囲気の漂う様な四字漢字ですが、実際は結構キワモノです。キワモノな話を真面目に扱ってこそ研究の面白さ。
 
あ キワモノでキエモノな(サブカルチャー)ですからね。
マンガで描いたりしてるから、やっぱりおもしろく読めるものを目指しましたが、内容はかなりマジメだと私は 思ってます。エ〜〜〜かげんな社会学研究者の論文や、完全キワモノ扱いのカルチャー本あたりより、ずっとマジメにやったつもりです。
 
玲 何かさー、そーいう、キワモノ、(オカルトや噂話の類)
って、徹底的にケレン味たっぷりに、おどろ〜しく扱われるか、そうでなければ、科学で解明できるか否か、とかの方向にいきがちじゃない? そうでもなければ、とりあえず事象や話をただ集めるだけとかさ。そうじゃなくて、なんてーのかな、そういう世界にドプッとつかっている身としては、その話自体から何が見いだせるのか、とか、そのウワサ話がたつのか、とか、どういう過程を通り、そこから変化していくのか、とかが知りたかったのよね。ホラ、思ったより学術的風でしょ?
 
あ テーマ的には ウワサ話とは何であるか
というホームページです。すてきにアカデミックでしょ。でも、「怖い話」しか扱ってないあたり、思いっきり趣味に走ってます。
 
玲 怖い話好きだもんねー。
でもまあアカデミックにいく為にキワモノな話をたくさん集めた訳で(その節は皆様ご協力ありがとうございました)それで、いや!出会いましたよね! この世界にありがちな、つーか、あの「信じません!」もしくは「本当の事です!」攻撃。
 
あ ウン、何か不思議だった。
「こういう話を知っていますか?」って訊いてるのに、「信じてませんから」と返されちゃうの。「イスラム教を知ってますか?」ときかれて、「信じてませんから」と答える人は、いないと思うんだけどねぇ。誰も信じてるとは思っちゃいねえって(^_^;) 少なくとも私は信じてない。だけど、そういう人のかたくなさって、結局「本当の話です!」っていう人と同じなんだよ。
 
玲 私、ウワサ話を集めていて、
何度も「それは本当の話ですッ」って鼻息荒く言いに来る人に出会っちゃいましたよ。でもね、誰一人「だって私が経験した事ですから」と言う人はいないの。本当の話と彼女が信じる理由は、「ウチの大学で実際あった話として有名で経験した人の学籍番号までわかってる」からだったりとか、「学校の先生が本当にあった話だと言っていたから」だったりするんだよな! 逆に、そーいう理由だからこその『都市伝説』なんだが。なんだろう?本当だと信じる事に何か意義でもあるんだろうか? 大体私は、最近とみに、この「信じる」という言葉はいい加減でうさんくさい気分がしている… 
 
あ ああ、そうね。「信じる」「信じない」ってのは、
究極、宗教観にいきついちゃうんだと思うんだ。道徳とか常識も含めての宗教観。で、それはね、いうなれば科学(サイエンス)の立場とは対極にあるものなのよ。だって科学の根本は、「疑うこと」と「計測(はか)ること」だからね。そういう意味で、社会科学っていうのは、自己矛盾を抱えたモノな訳だ。だから、我々としても極力科学の立場を意識しつつ、まァ結局は「楽しんじゃえ」ってスタンスで取り組んでいるんですけど。「信じた」ところで何もかもストップしてしまってはいかんのだ。しかしまァ都市伝説を経験した本人はいないだろうねぇ。一度会ってみたいぞ「日本ダルマ」さん。
 
玲 そんな事件が何度もあったら、大騒ぎだって、マスコミが。
でもウチの親もまじに信じてました! いえ、現在進行形です。信じてます。かたくなです。何かそこに自分のアイデンティティーの根本があるみたいです。SF大会でアンケート配った時にいましたよねー。信じないから、そういうアンケートには答えられないって人、ちょっと都市伝説からオカルト系の方に話がいっちゃうけど、オカルトって、やっぱりキワモノでしょう? 何か場合によっては良識ある世間から「そんな事信じてるんですか?」とか言われちゃいそうーな感じ。だから、これを話題にする時ってすごくその人の心の底にある心にかけた枷のよーなものが見えて面白い事があるんですよ。さっきみたいにアンケートを読みもしないで(本当に読まなかった)「信じてません!」と言いきる人とかは(第一私は一度も信じてますか? とは聞いていない)は、お? 何かオカルト系の事でトラウマがあるのか? とかね。
 
あ うんうん。
これは特に「こっくりさん」の項で顕著だった事なんだけど、「こっくりさん」なんてくだらない。どうせ当たらないウソッパチだ。科学的じゃない。」といいながら、「低級霊が出てくるから、悪い事が起きる」「だから私はやらなかった」と激しく主張する人がいる訳です。
「信じてない」と言いつつ「低級霊」発言。なんなんだ?この人の心はどこにあるんだ? とよく読んでみると、「その頃、自分はいじめられていて、こっくりさんをやる仲間には入れなかった」らしい事情が切々とのべられてたりする訳です。
なるほど、こっくりさんがトラウマなのね。
これはすごくわかりやすい例だけど、オカルトって、人間関係の内側に存在するものなんだと思うのよ。だから、ハナシを信じるという事は、そのハナシをした人を信じる事なのかもしれない。その場を保つ事かなァ、
現に私は初めて「ベッドの下の男」の話を聞いたとき、「それは都市伝説というもので〜」と語って嫌がられた経験があるっス(/_;)
 
玲 キャハハハハ、
そりゃー怖がらせようと話をしている最中に研究的な話したら、嫌がられますわな。私もしたけどな、そしたら真っ赤になって「本当の事なんです!」と主張されてしまった。いや、ウソツキ呼ばわりした訳じゃないんだよ(T_T)
 
あ イヤー、 
それでも私はマクドナルドのハンバーガーがミミズで出来ているというのは大ウソだと思う。この辺、霊関係の話と都市伝説はちょっとゴチャゴチャになるとややこしいので、とりあえず『都市伝説』の話からいきましょうか。
ミミズバーガー、ネコバーガー、カピバラバーガー、ご一緒にいかがですか?
 
玲 うむ、どうりで話がわやになる訳だ。
そーですね、わけましょう。まずは、『都市伝説(ウワサ・伝聞の話)』を信じる人達の心理についてだ。これに関しての、私達のスタンスって最近思ったんだけど、SF大会に参加してる人ならおなじみの「トンデモ本」の○と学会と立場にてまへン?
 
あ 似てる!似てる!
スッゲ〜バカにしつつも、愛してるのよ。トンデモを(^o^)
 
玲 もー、好きで集めてんだけど、
そのウワサのばかばかしいのに頭抱えるものも、かなりあるんです。でも、楽しむのが目的だからばかばかしくても別にいいんだが、やはり、ここで本当に信じる人、そしてわざわざ「本当の話ですよ!」と力んで言いに来る人っている訳です。謎だぁ。やっぱ私今回のアンケートの大賞は「外食産業の常識です。」かなぁ。マックの話が山のよーに来たね。一番ポピュラーなウワサ話だったのか、それが。
 
あ どうもそうだったらしいね。
そんでもってまた「常識です。マックの肉には何%かミミズが混じってます。」とか書いてくる人が、妙〜に高圧的で偉そうだったりするのよ。「都市伝説なんてものは子供が妖怪話をしなくなってからTVやアニメの影響で出てきたもので、くだらない」みたいな事が書いてあるの。なのにミミズバーガーが常識なのよ。あなたはマックにミミズの肉を卸してる業者なの? と聞いてみた―――いっ、本当だったら私、アメリカでマックを訴えます。何億ドルもとれるぞー。
 
玲 口止め料の3万や5万なんてみみっちいよね。
一生豪遊できてよ、みなさま。都市伝説の特徴のひとつととして、教訓と偏見てのがあってな、このバーガーの話は、ジャンクフードばかり喰ってると、体によくない、という教訓と、そーいうジャンクなものには何が入っているかわからない、という偏見があるのだよ。しかし、ミミズが常識なら何で、他にこんなにネズミだのネコだのの話が山のよーに出てくるんだ?
 
あ 外国では意外にバーガーの話は少ない。
むしろコーラの中にネズミが入ってた。の類になる。これはたぶんバーガー類が、日本で思う程ジャンクな食事ではないからかなぁ。
 
玲 バーガーってアメリカの国民食でしょ?(決めている私)
あ、ウワサ話の法則もひとつあった。自分の知らない事ほど信じやすく、デタラメも通りやすい、なおかつその部分の話が曲がっていきやすい。「常識です」の人は絶対外食業界の事なんて知らない人ッスよ。よく知ってる世界の事なら、そんな風には言わないからな(例えば○○からミミズを仕入れているので、本当です。という様に書く筈)トンデモ本の世界なんかだと、アインシュタインのことを知らない人ほどアインシュタインの事を語りたがり、なおかつ、アインシュタインの説は間違っている。と言いきるんだそうだ。
 
あ ワハハ、その通り! 
でも「関係者の人が話したから本当です。」というのもまた間違っているよな。よく旅行業者が「ダルマ女」の話をしたりするらしいけど。都合のいい話をしているだけだからな。海外旅行は団体で、という訳だ。CMはいってます。
 
玲 ハイ、うちの親も言ってました。
ダルマ女の話だから知らない所で一人になっちゃいけないのよーという奴ですな。親に都合のいい教訓です。しかし、旅行業者の人って別にダルマ女の関係者じゃないじゃん。
 
あ うん、よく考えればそうですよね。
関係者はや○ざとか誘拐団の人だわね。そんな人達が話すわけねーわな。
 
玲 あと、本当の被害者の親とかですよォ。
その人達から、聞かない限り、関係者から聞いた事にはならん! 先生が言おうが旅行会社の人が言おうが、また聞きのウワサ話じゃ。
 
あ あ、あと都市伝説の語り手は子供じゃないです。オトナです。
「子供のたわごと」みたいに思っている人もいるけど、ちょっと違います。どっちかっていうと、人間心理の暗部に根ざした差別とか偏見とかエロとかグロとかの混じり合ったところから出てきた、ちょっとよくできた話です。
 
玲 そーね。話すのも信じるのも基本的に大人よね。
普通子供だけで海外旅行しない、だから子供から派生した話ではない訳だ。大人から派生して、子供にいく場合はあるけど、そして、子供は知らん事も多いので、フジツボがウツボになったりして話がめちゃ曲がる事も多い訳や、カピバラを知らないので、しっぽが中に入っている、とか言うのよー(T_T)
フジツボがウツボに!! ぎゃあああーー

あ いや、カピバラは大人でも知らない人の方が多いと思う。
子供だけに流通するハナシとして、「雨あめふれふれ」の歌詞の話なんかがあるけれど、少数だね。 
 
玲 あれはあっさりと否定できる話だからねぇ…
そういうすぐにでも実証できるものが出る話は、せいぜいが子供の中に短期間しか広まらない訳だけどもちっと、立証しにくい話が残るのね。だけど、本当の話です! とか言って、ムキになって来ないでくれよ(^_^;) 所詮伝聞、ウワサ話など3割引いて聞くものじゃ、娯楽だから、楽しめばいーのさ。本当かどうかなんて娯楽には大切じゃないよな。
 
あ 「本当である」事をウソにする娯楽は、
娯楽としてはレベル低いと思うゾ。人間だけに許された想像力という能力を最大限に発揮できるのはフィクションなんだからさ。でもって、オカルト系とか霊関係の話をする時、人はなぜか「信じますか?」と訊くのだ。
 
玲 困るんだよなー、その質問。
私が信じるか信じないかが、何の関係があるんだよ、と思っちゃう。例えば、幽霊とかは私がその存在を、「いる」と信じる事と実際にいるかどうかは違うだろうが。例えば、私が信じてなくたって、ライオンは存在するしさ。
 
あ 後、その人が「見た」事は信じるけど、
実在するかって事とは別問題だしね。はっきりいって、人間は、実在しないものを見ることなどいくらでもある。「自分で見れば信じます」という人は、自分に自信があるんだなァと私は、感心するね。私は、自分が見たって信じないもん。私の視覚なんか、信用できないしっ。この間もインテリアをイタリアって読んでしば〜〜らく考えちゃった。何度も読み直してるのにどーしてもイタリアって読めるんだよ。だからね、見ることと、信じることと、その人がウソをいっていると考える事は皆、別の事だよね。
 
玲 うん、うん、その人が「見た」って事は否定しないよ。
「見た」人なら、見たんだろ。でも、実際に「いる」かどうかは『わからない』というのが正確な所だと思うのね、今の所は。だから、私はオカルトに対して、姿勢がまじめなんだよ、実は。あるとか、ないとか言うのは簡単だが、証明されてない以上は、「わからない」というスタンスを保つ、これってちょっぴり研究者の態度だ。信じてるかどうかじゃないぞ。私はオカルトの話をする時「信じますか?」とは聞きません。そんなことはどーだっていい。
 
あ 「信じてないから答えられません」ていうのも、
「信じてるんですか?」っていうのもとんちんかん。知ってることを教えてくれよ〜〜〜〜〜って感じ。
 
玲 オカルトもうわさ話もあやしさ大爆発な世界なのよね。
あやしさ爆烈の世界をあやしく取り上げる事など、ちまたにありふれた簡単な世界だ。そこをあえてまじめに取り上げる。私はこれってとってもSF的な態度だと思ってまーす。だから、98年名古屋SF大会でふざけてアンケートを書いたふとどきな奴(一人いた)は反省するよーに。SFな同志のやる事ではないザンスよ!
ちなみに、ウワサ話の類は引き続きボシュウ中!
なので、よろしくね。待ってまーす。

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