正義の味方ワールド


 拳銃の使用が唯一合法的に許可されている巨大地下都市「砂城(さじょう)」
ここは30年前の『大浮上』(異界浮上大変動とも呼ばれる)によって形成された空間に広がる地下都市で、一種の閉鎖都市。
外との交流がない訳ではないが、出入には厳重なチェックが行われます。

砂城は東京都のどこかです。(^_^;
近未来とよく言われますが、時代設定は今現在。
ただし、30年前に東京に奇妙な空間が下から浮上し、一度東京のかなり広い範囲が壊滅している、という設定です。
その壊滅した所に存在するのが、現在の砂城市。
地下に巨大な空洞が発見され、最初は研究者と政府機関のみが地下空洞に潜ります。
やがてその空間に人が住み着き始め、現在の街が出来上がっていきました。
最初は実験的に造られた都市だったので、居住には審査がありましたが、『使役品』の発見により人々が殺到。
一種のゴールドラッシュ状態が一時期続きます。

ここから出る莫大な利益により、この世界の日本の景気は大変いい。
うらやましい。(笑)
今は様々な人が雑然と住んでますが、まだ砂城には未知の部分が多いため、ずっと一種の閉鎖政策がとられています。
その為人々の気質もかなり閉鎖的で、外と下をきっちり分けて考える習慣があります。
砂城は実際は地上部分の「スカイ」と、地下都市部分の「アンダー」の2つに分かれており、本来は砂城市とは砂城の地下部分「アンダー」の事を指しますが、現在では上の「スカイ」の部分もそう呼びます。
スカイでは銃携帯は原則的には禁止ですが、アンダーでは許可さえ得れば成人なら誰でも携帯可。
その為治安はあまりよろしくない。




「簡単な用語説明」


【スカイ】

 ここの殆どはアミューズメント地域で、巨大遊園地東京ドリームパーク、日本唯一の合法カジノ、ゲームセンターなどがある。アミューズメント地域への外からの出入りは自由。
外の殆どの人にとって、砂城とは「スカイ」のことで、遊園地の代名詞。砂城に行く、というのは遊園地に遊びに行く、と同義語である。
一部地域に大人のための歓楽街もあり。もちろん健全なものではありません(笑)
スカイの一部は居住地区になっており、高級住宅街だが、ここは住民以外は立ち入り禁止区域になっている。
(外部の出入りにはアンダーと同じく厳重なチェックが行われる)


【アンダー】

 スカイの真下、地下空洞に広がる都市。スカイとはエレベーターで行き来する。エレベーターは複数あり。
古い地区に階段が残っているが、現在は使用されていない。
アンダーに潜った場合、地上との連絡は有線のみ。基本的に携帯の類いは、アンダー内でしか使用できない。


【ディープ】

 アンダーの更に下にある地下空間。ここはアンダーのような居住性に乏しいため、人が住む事はない。
空間の層が何重にも下まで広がっていて、どこまで深いのかまだ確かめたものはいない。
深さによって、ディープ1、ディープ2、と数えていく。


【使役品】

 ディープから掘り出される未知の物質。
固形で発掘される事もあれば、液体状で見つかる事もある。
これが何なのか現在研究中だが、正体が解らないまま、石油のように様々なものに使用されている。
現在の暮らしの中に、あまりに当たり前のように入り込んでいるので、使役品無しの生活は考えられないくらいである。
しかし石油に関してもそうであるように、人々はその事を殆ど意識していない。


【ジャンク】

 生きているものをなんでも喰らう未知の物体。
形は虫に似ているが、虫ではない。一種の怪物。
ディープの深い部分から現れて人を襲うが、詳しい事は殆ど解っていない。
ただ構成物質は使役品と同じらしい。
どうして同じものが使役品とジャンクに別れるのか、その理由はまだ解っていない。
ディープの深い所に潜るほど、ジャンクとの遭遇率が高くなる。
黒羽の両親はジャンクの研究者だった。


【サルベージ】

 使役品を掘り出す事。
地下に潜って作業をする人々をサルベージダイバーと言う。
サルベージは一発当てればかなりの利益が得られるので、ダイバー達はジャンクの危険と引き替えに地下に潜っていく。




「アンダーの細々とした設定」


 アンダーは自然の空洞に、計画的に手を入れて作られたものなので、かなり人工的に統制されています。

気温は多少の上下はあるものの、季節を通してほぼ一定。
雨は全て予定。
予定じゃない雨は、火事の時に降り注ぐ。
もっともスプリンクラーの故障等で、対応できないこともあるので、消防車も待機。
ホテルレオニスの大火災の反省をふまえて、最近装備も充実。

地下なので、高い建物がない。
ホテルレオニスの7階建てが最高。
西署は4階建て。独身寮は3階建て。
そして、けっして地下室というものがない。
地下は未知の世界であり、地下道を造ると、そこからジャンクを外に出す可能性もあるので危険。
更に使役品の盗掘を防ぐ為もあって、地下を掘る事はかなり厳しく禁止されている。
(incident3の「地下室の悪夢」が、不法地下室の話です)

電車は通っていないので、移動は主に車。
電車の代わりに、アンダーにはバスの路線が網の目のように走っている。

 ディープは下に行くほど、実は異次元の世界です。
下から奇妙な空間がせり上がってきたという設定なので、下へ行けば行くほど空間も時間も歪んだ世界になっていく訳です。
地下空洞は下へ行けば行くほど、不安定になっていきます。

地下第一層であるアンダーは、とりあえず普通の空間。
しかし、ディープ1.ディープ2と、どんどん下へ行くと、今までそこにいた人が、フッと消えてしまったり、新しい横穴がいつの間にか出来たりする事があります。
人が巻き込まれる事は、ほんの時たまなので(ジャンクに食われて死ぬ事の方が、はるかに多い)消えた人はかなり運の悪い人です。

 地下へと降りる穴も、いきなり出来たり消えたりするので、地下への入り口の場所と数を正確に解っている人は一人もいません。
(ただしもちろん、常にその辺りの事を調べている機関は存在する訳ですが。incident2「ノーマンズランド」にちょっとだけその辺りの話が…)

アンダーは一応普通の空間ですが、それでも地層の安定しているところと不安定なところがあるので、人の居住地域は慎重に線引きされて決められています。
(incident3「地下室の悪夢」に出てくる住宅街は、かなり安定している地域)

アンダーは異次元との境目。
何だか訳の解らない空間に、人工物である砂城という街をかぶせて、とりあえずフタをしている状態です。
という訳で、砂城市の持つ役割とは。

『表は使役品の発掘と、その研究』
『裏はジャンクをけっして外に出さないためのフタ』

ジャンクを恣意的に外に持ち出そうとした者は、それだけで極刑相当の罪になります。


 では、世界中に砂城のような所は無いのか、というと。
実は同時期に、砂城と同じ様な異界浮上が世界中に7〜8ヶ所程起こったという設定です。
ただし、その殆どがものすごく小さくて、砂城とは比べものにならない規模です。
砂城のように都市が出来てしまう程の大きさは無く、一番大きい場所で東京ドームくらい。
後は、殆ど小さな穴(ホール)
使役品も、せいぜい研究材料程度にしか発掘されません。

そういう訳で、使役品産業は99%砂城が独占。




「砂城アンダー警察の事」


 基本的には現在の警察と同じです。
ただし、砂城は少々特別で、独自の命令系統と捜査権限を持っています。
砂城は東京都なので、本当なら、事件が起き捜査本部が置かれる場合、本庁(警視庁)から捜査員が入ってくる筈なのですが、場所が特殊なため、特別の事件でもない限り、本庁からの捜査員は入ってきません。
つまり「踊る大捜査線」じゃなくて「太陽にほえろ」
事件はほとんど所轄で処理します。
そのため砂城の警察組織は、結構大所帯で大規模。装備も充実。

その他、外と違う所は、ジャンク関係専門の課がある所。
それと、パートナー制をとっている事。
外でも警察は基本的には2人組で行動しますが、砂城のパートナー制はもう少しきっちりしていて、同じ人間と常に殆ど行動します。
これは基本的にはジャンク対策。自分の後ろを常に守る為の信頼できる人間が必要、と言う事から始められた制度。
ただしパートナーは絶対的なものではなく、短期でパートナーを交代する人もいる。


黒羽達のいる捜査一係強行特殊班は、荒事専門のチーム。
主任、桜庭裕美子。
銃撃戦、立てこもり、ジャンク関係が主な仕事。
ジャンクに関する課は別にちゃんとあるので、そこからはみ出した事件を彼らが担当する。
基本的に彼らの仕事は遊撃隊。何でも屋。自由に動ける所が特徴。

砂城西署独身寮は贅沢にも独り部屋。
簡易キッチン、トイレバス付きのマンションタイプ。
黒羽と白鳥の部屋は隣同士。
個室にも風呂はありますが、寮の3階には大浴場があります。
24時間入浴オッケー。
洗濯は寮内にあるランドリーにて各自する事。
自炊も自由。
しかし男性警官は、やはり食堂で食べるか、外へ食べに出る事が多いらしい。


 あまりちゃんと決めている訳ではないのですが、今のところ砂城のアンダーには5つの分署があります。
砂城西署、東署、南署、北署、中央署。
まあ、もっとあるかもしれませんが、それは追々…。
中央署と西署が激戦区です。
南署の管轄は、ちょっと穏やか。比較的古い地域です。
リレー小説「雨が降る都市」に出てきた公園は、中央から南にかかる辺りに、広く設置されています。
つまり公園辺りは、黒羽達の管轄外。
人のなわばりなので、警察風をそうそう吹かせる事はできない感じです。




おまけ「簡単警察ミニ知識」


あまり詳しいことを知っている訳ではありません。
一応基本だけ、少し書きたいと思います。

【警察の階級】

 下から、巡査 巡査部長 警部補 警部 警視 警視正 警視長 警視監 警視総監
もっとも警視総監は警視庁にいなくちゃなれないし、たった一人なので、階級ねえ…と思う事もありますが。
巡査と巡査部長の間に、巡査長というものがありますが、これは正式の階級ではありません。
名誉職のようなものらしい。昇進は試験に受かるかどうかなので、試験を受けるヒマがなかったベテラン巡査にあげたりしているらしいです。あと、なにか手柄を立てた人とか。
警視正以上は国家公務員。それ以下は地方公務員。
そういう訳で、黒羽達は地方公務員。

特殊班の班長が、主任です。その上に、一係の係長。係長の上に捜査課の課長。捜査課の上に、刑事部があり、ここのトップが部長。
係長、課長、部長、と会社と同じですな。
よく警察庁と警視庁はどこが違うのか、と聞かれますが、警視庁は埼玉県警などと同じ、都道府県警察本部の一つにすぎません。埼玉県警が、埼玉の警察の本部なら、警視庁は東京の警察の本部です。
では何故東京都警と呼ばないのか、というと、最初にちゃんとした警察組織が置かれたのが東京で、その時警視庁と名付けられたので、そのまま、ということみたいです。
結局そういう意味で、いくら他の都道府県警察本部と一緒だと言っても、それでも特別には間違いがないようです。
警察庁は事件の捜査をする所ではありません。国の行政機関です。警察活動のための予算獲得や、治安のための法律案を国会に提出したりするのが仕事です。

【刑事とは】

捜査権を持つ警察官の事だそうです。
階級ではありません。
巡査でもなれますが、相応の成績と実力、それに上司からの推薦が必要らしい。
実力、推薦、試験、面接。本来刑事になるまでには、たくさんのハードルがありますが、白鳥の場合は、砂城行きと欠員補充ということで、完全に特別異動扱いです。
白鳥はよく自分の事を「お巡りさん」と言ってますが、本来これは制服警官のことを指します。刑事になってスーツに着替えた白鳥は、もう「お巡りさん」では無い訳ですが、街の治安を守る意味合いを込めて(しかもこの間まで制服巡査だったし)お巡りさんと言ってます。